一升の酒に、八升の水がいるといわれる酒づくり。中でも良質の豊富な水に恵まれることが、酒造地の条件といえます。
伏見は、かつて“伏水”とも書かれていたほどに、質の高い伏流水が豊富な地。桃山丘陵をくぐった清冽な水が、水脈となって地下に深く息づき、山麓近くで湧き水となってあらわれます。日本を代表する酒どころとなったのも、この天然の良水に恵まれていたことが大きな要因です。
そのすぐれた地下水の伝説をもつ、御香宮神社。
社伝によると千数百年前、境内に香り高い清泉が湧きだし、朝廷から「御香宮」の名を賜ったのがそもそもの起こり。
そして現代、この名水は「日本名水百選」のひとつにも選ばれ、訪れる人たちに親しまれています。
伏見には「金名水」「銀名水」「白菊水」など多くの名水伝説が残っています。 水質は、カリウム、カルシウムなどをバランスよく含んだ中硬水で、酒づくりに最適の条件を満たしています。
きめ細かく、まろやかな風味は、この理想的な地下水、そして伏見酒を伝えようとする人々のたゆまない努力によって生み出され続けているのです。